ARTS ITOYAでは、Maddy Rankinによる滞在制作発表展「」を開催します! 1か月のレジデンス期間を通してMaddyが制作した最新作を展示いたします。
開催日時 7月26日(日) 15:00〜18:00
※日曜日の16:00よりアーティストトークを行います。 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
以下アーティストからのメッセージです。
金継ぎ(Kintsugi)
《金継ぎ》は、九州・武雄でのアーティスト・イン・レジデンスを通して体験した日本文化から着想を得て、「癒やし」をテーマに制作した作品シリーズです。
心の不調により入院を経験した後、私は日本の日々の静かな営みや風景、そして何気ない瞬間の中に、心を落ち着かせ、少しずつ回復へと導いてくれる力があることに気づきました。
本作では、私にとって癒やしの象徴となった5つの場所や体験――温泉、ラーメン店、田んぼ、クスノキ、お茶――を描いた水彩画を展示しています。それぞれの作品は意図的に破り、日本の「金継ぎ」の思想に着想を得て、金でつなぎ合わせました。壊れたものを隠すのではなく、その傷跡を作品の一部として受け入れる金継ぎの考え方にならい、修復しきらない縁をあえて残すことで、「傷ついた経験もまた、その人の物語の一部である」という思いを表現しています。
水彩画とともに展示されるのは、一部は満たされ、一部は空のままの陶器です。来場者はそのうちの一つを偶然手に取ることになります。どの器に出会うかは選ぶことができず、その体験は回復の不確かさを象徴しています。癒やしの過程は決して一直線ではなく、満たされた気持ちと空虚さ、希望と不安は同時に存在し得るものです。この作品は、明確な答えを示すのではなく、回復という営みの予測できない性質について静かに考えるきっかけを提供します。
また、九州で過ごした日々のスケッチブックも展示しています。そこには、旅の中で出会った風景や物、人々との時間が記録されており、私自身の癒やしの過程を映し出す視覚的な日記として、完成作品の背景をより個人的な視点から伝えています。
《金継ぎ》は、回復を「完了したもの」として描く作品ではありません。むしろ、傷を抱えながらも前へ進む強さ、日常に宿るささやかな美しさ、そして「壊れていること」と「ひとつであること」が共に存在できるという可能性を祝福する作品です。
